IPS細胞で山中教授がノーベル賞を取られてからそれが世間で脚光を浴び、私達あいの歯科治療においてもたまに患者さんから話が出る事が有ります。
失った歯が将来、IPSによって蘇るのではないか等というお話です。でも、現実は難しい事だと思います。
例えば、右下の臼歯を失ったとして、それをIPSにより忠実に28本の歯の中から分化させて培養し当該部位の歯茎に移植する。
そして、それに神経が通う、若しくはインプラントのごとく神経は無いにしても咀嚼機能を有する。何てことは、現実難題が山積していると思う。
患者さんで「今回、歯周病がひどくて将来先生にこの歯は長持ちしませんよ」って言われた歯はインプラントでは無く将来IPSで何とか治したいと希望を持たれてたりします。
でもそれって何年先の事?実現できたとして患者さんに提供する価格は幾ら位になるの?等といった疑問が有ります。
だから、我々歯科医が欠損を補う治療で最良な方法は何?って聞かれると、当分の間、「それはインプラントです。」って答えなきゃいけない時代が続くのだと思います。
本当にIPSでそんな事が実現できる時代が来れば良いですけどね。
少なくても、私の生きている間の実現は無理だとは思います。未来の科学者に期待しましょう。